2025.08.29
こんにちは。編集長の五十嵐淳です。
昨年末以来の記事更新となり、ご無沙汰してしまいました。
今回は、青森県新郷村・西越地区でこの秋に開催される、とっても素敵なアートイベントをご紹介します。
「アート×廃校×地域の人々」というユニークな切り口で、“関係人口”の新しいかたちを模索する試みです。
本プロジェクトの目的は、単なる展示会や観光誘客ではありません。
廃校の利活用をきっかけに、村民と村外の人々が出会い、語り合い、次につながる関係性を生み出すこと。
本企画の発起人は、地域おこし協力隊の清水香帆さんと、大学生でアーティストでもある小比類巻侑生さん。
二人が中心となり、地域と外の人々をつなぐ取り組みとしてこのプロジェクトが始まりました。
「外から来た人が『地域の伝統や風景、文化ってすごい』と評価してくれることで、地域の人が自信を持てる。
“何もない”と思われがちな西越地区を、“何かが始まる場”にしたいんです」と語ります。
このプロジェクトは、将来的に大学・学生・地域団体が継続的に連携する基盤づくりとしても位置づけられています。
例えば、旧西越小の校舎を建築・デザインを学ぶ学生の実践スペースとし、1階を子育て支援団体の活動拠点とする構想も。
すでに空き家の活用、トイレの修繕など、小さな“前進”が地域の中で生まれ始めています。
イベントの主会場となる旧西越小学校
愛知県豊田市出身。2024年春に新郷村に着任した地域おこし協力隊の清水香帆さんは、「廃校の利活用」というミッションのもと、日々西越地区を奔走しています。
大学時代は保育を学びながらも、イベント企画や地域活動に熱中。
「人がつながり、何かが動き出す瞬間」に心を惹かれた彼女は、「人と人とが出会い、地域の中で未来が見えるような場をつくりたい」と新郷村へ。
絵本の読み聞かせ、染めの研究会、モルック体験など、住民に寄り添った活動を続けながら、今回のアートプロジェクトの立ち上げに至りました。
清水さんは「村外から人が来てくれて終わり、ではなく、何度も関わりたくなる“関係人口”を増やしたい。その第一歩が、今回のアートプロジェクト」と語ります。
そして、プロジェクトの根底には「地域の人たち自身が、自分たちの暮らしや文化に誇りを持てるように」という思いが流れています。
新郷村地域おこし協力隊の清水香帆さん
来場者はまるでゲームの主人公のように、旧西越小学校の空間を巡りながら、作品を“発見”し、“選択”し、“感じる”体験を重ねていきます。
本イベントは、9月6日から28日の金曜、土曜、日曜、祝日に開催されます。
参加アーティストは主に学生で、地域や住民にゆかりのあるアーティストとのコラボレーションやリサーチによる作品展示、また新郷村の風景を活かした展示・空間設計が予定されています。
また、鑑賞者自身が選択しながらストーリーを進めていくような、RPG(ロールプレイングゲーム)的な体験要素を取り入れています。
旧西越小というフィールドのなかで、物語の主人公として村と関わる体験を通じ、日常とは異なる“物語世界”の住人になったような感覚を味わうことができる仕掛けです。
今回のアート展示に参加するのは、発起人の小比類巻侑生さんが声をかけた、多彩なバックグラウンドを持つ仲間たち。
学生の他、高校教諭や大学教員など、幅広い世代がこの場に集い、それぞれの視点で「村」と向き合った作品を制作しています。
彼らの趣味や関心からも、展示に込められた個性や世界観がにじみ出ています。
小比類巻侑生 趣味は散歩
野々山裕樹 趣味は旅行
後藤果歩 趣味は料理、ヴァイオリン
﨑あい 趣味は折り紙、料理
大宮康太郎 趣味はドライブ
日置かこ 趣味は記録をつけること
橋本嵩斗 趣味は香水集め、オペラ鑑賞
松本秀樹 趣味は速写、素描、衣類のお世話
皆川俊平 趣味は板を使わずに波に乗ること
9月6日(土)10:00 〜 10:20 旧西越小学校にて開催。
オープニングイベント後は、10:30 〜 12:00 新郷中学校ランチルームにて、関係団体・学生・村民が集い、プロジェクトの背景や地域の未来を語るトークイベント&交流会を開催。
9月15日(月祝)午前の部 10:00 〜 11:30 / 午後の部 15:00 〜 16:30 にて開催。
茅葺き屋根や坂の多い集落など、西越地区の“生きた風景”を歩いて感じるツアー形式のプログラム。
集合場所、持ち物などは、下記お申込フォーム登録後にお知らせします。
※このプログラムは、三戸郡の地域団体サンノヘエールが、コース設計のアドバイザーとして協力しています。
9月20日(土)、21日(日)10:00 〜 11:00 旧西越小学校にて開催。
参加アーティストが自らの作品を解説。校舎内を巡りながら、思いや背景を直接聞ける貴重な機会。
9月27日(土)16:00 〜 17:30 旧西越小学校にて開催。
東京藝術大学院の田沢陽菜氏をゲストに招き、制作におけるリサーチとは何かをテーマとした公開型の講義イベント。
9月28日(日)16:00 〜 18:00 旧西越小学校にて開催。
獅子舞・鶏舞・駒踊り──地域に伝わる伝統芸能の披露を予定しています。
実現すれば、西越地区で受け継がれてきた文化と現代アートが交差する、特別な一夜になることでしょう。
このイベントは「村のゴール」とも位置づけられ、地域の人たち自身が廃校活用の未来を考えるきっかけにもつながります。
<演目構成(現在打診中)>
西越獅子舞:本来は地区の子どもたちだけで演じられていた「七つ道具」の演舞ですが、現在は子どもの人数が少ないため、大人も加わって披露されています。なお、獅子の舞は行われません。
西越獅子舞の七つ道具
西越田中鶏舞:もともとは子どもたちを中心とした演舞でしたが、現在は子どもから中堅世代までが担い手となり、「さんさ(ささ)踊り」も含めて披露されています。
西越田中鶏舞
間明田駒踊り:「七つ道具」は子どもたちによって演じられ、駒踊りは成人男性が担っています。伝統的な構成を守りながら、地域内の世代連携で継承が続けられています。
間明田駒踊り
※各芸能は例年、8月15日 八坂神社・8月16日 西越三嶽神社大祭で奉納されてきた歴史があります。
このプロジェクトには、こんな願いが込められています。
「ここで何かが始まるかもしれない」
「この出会いが、次のアクションにつながるかもしれない」
観光でも移住でもなく、ほんの少し立ち止まり、村に触れる。
そんな人たちが交差することで、村の未来が少しずつ形づくられていくのかもしれません。
旧西越小学校は、西越地区のこどもたちの想い出がたくさんつまった学校です。
今回のアートイベントのように、これからもこの小学校が、いろんな人の“居場所”になればいいなと思います。
廃校という舞台に、さまざまな土地から来た方々が、それぞれの表現方法で「何を伝えたいか」「どう届けたいか」を考えながら展示をつくっています。
その過程には、きっと“考える楽しさ”や“出会う喜び”があるはずです。
会場でみなさまにお会いできるのを楽しみにしています。
ぜひ、シンゴウムラに遊びに来てください!
サンノワ編集長 五十嵐 淳
三戸郡の「輪」と「和」と「話」を発信します!
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