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モノやコトを通して、ヒトの交流を  〜 田子町文化観光交流施設「みろく館」〜

2022.08.04

2022年4月、田子町に文化観光交流施設「みろく館」がオープンしました。

昔ながらの古民家を町の中心地に移築したのが約30年前。

田子町の昔の生活を感じられる民族資料館として長年使われてきた施設が、

この町の文化・情報の発信地として、

観光の拠点として、

そして人の交流の場として、

新たにみろく館として生まれ変わりました。

そんなみろく館について、管理・運営を任されている田子町観光協会事務局の西村祐哉さんにお話をお伺いしました。

(田子町観光協会事務局、西村祐哉さん)

 

◇みろく館、おしゃれな施設ですね。

ありがとうございます。

田子町で実際に使われていた古民家を町の中心地に移築したのが約30年前で、民俗資料館として昔の農機具などが保管されていたのですが、一般公開はされておらず、私も長年入ったことがない施設でした。

町の中心地にある古民家ということで、立地もいいですし、古民家は最近はさまざまな形で活用されていますから、このままでは勿体無いということで、若い人も来やすいように内装もおしゃれにリニューアルし、みろく館として今年オープンしました。

(伝統的な古民家の中には、モダンなテーブルも)

(にんにくと黒ニンニクをイメージしたソファ、さすが田子町)

(会議や会食にも使えそうな和室)

 

◇みろく館という施設名も、古民家の雰囲気にあったいい名前ですね。「みろく」という名称にはどういった意味がありますか?

田子町で1番の観光地である「みろくの滝」というのがあるのですが、その昔、弥勒菩薩を信仰するお坊さんがその滝の付近で修行をされ、それが理由でみろくの滝という名前がついています。

このみろく館の庭には、実はそのみろくの滝をイメージして作られた庭園が昔からあって、公募でこちらの施設名を募集したときに、それを知っていた町民の方から「みろく館」という名前が応募され、委員会での決議を経てこの名前になりました。

(冬のみろくの滝、スヌーピーに似てるとも?)

 

◇田子町の方にとっては馴染みのある名前なんですね。そもそもみろく館はどういった目的で作られたのでしょうか?

固く言えば文化観光交流施設なのですが、みろく館には大きく2つの目的があります。

1つ目は、田子町の観光の玄関口として、先ほど紹介したみろくの滝や創遊村、創遊村229スキーランドなど、田子町に遊びに来た方々の観光案内所として機能させる目的があります。

2つ目は、町民や町外の方々の交流の場として活用させる目的もあります。スタッフ5人が代わる代わる常駐していますので、まずは来館者とスタッフがさまざまなイベントを通して交流できるように、ゆくゆくはスタッフが町外の方の観光案内をするのでなく、ここを訪れる田子町民の方々が町外の方の観光案内をできるように、町民と観光客が繋がれる場所になれればと思っています。

 

◇1つ目の観光案内所と聞くとイメージがしやすいですが、2つ目の人の交流というところをもう少し詳しく教えてもらえますか?

オープンしてまだ3ヶ月ほどですが、みろく館が人の交流の場所となるように、モノ・コトを通して様々なことに取り組んでいます。

1つ目は、「町民の方にみろく館に愛着を持ってもらいたい。」という想いから、みろく館でのワークショップの開催を行っています。

通常ワークショップというと自宅に持ち帰れるものを作ったりしますが、オープン当初のワークショップではみろく館で実際に使うものを作っていただきました。観葉植物用の鉢、コップの下に引く畳コースター、ティッシュボックスケースなど、自分の作ったものが施設に残り実際に来館者に使われることで、場所に愛着を持ってもらう、そういった意図でワークショップを開催しました。

先日もティッシュボックスケースを作ってくれた小学生が、ご両親を連れてみろく館に遊びにきてくれて、親御さんに自慢している姿があったのですが、市販のものを買わずにこういったワークショップを開催したからこそ生まれた機会・交流だと感じることがありました。

(畳コースターのワークショップ)

(陶芸で作った鉢に観葉植物を植えたワークショップ)

(ティッシュボックスケース作り)

 

そして、2つ目は町民同士が交流できるイベントを開催しています。

子供向けの駄菓子屋イベント、町内でパン屋の開業を目指す地域おこし協力隊木村さんが教えるパン教室、町内の方が撮った写真を展示した写真展、ハンドメイド作品の展示会、9月にはパーソナルトレーナー事業を新たに始められたConditioning Gym FORCEの小島さんにもみほぐしの体験会をやっていただく予定です。

町民同士や町民と町内の事業者さんが交わることで、お互いのことを、町内のことをもっと知って欲しいなと思っています。小さな町である田子町でも、町内事業者さんと協力することでワークショップを開催できるんだとわかったことも良かったことですね。

(好評だった木村さんのパン教室)

 

3つ目は、町内と町外を掛け合わせる交流も行っています。

先日、町外の講師を招いて行ったヨガの体験会は非常に好評で、多くの町民の方にご参加いただきました。

今後は町外のバンドや歌手、演奏家の方などを招いて音楽ライブを開催したいなと思っています。さまざまな形で町外のものが田子町に入ってくることで、みろく館から町の活性化を担っていきたいなと考えています。

(おシャレな空間でやるヨガも格別でしょうね)

 

◇オープンして3ヶ月で、人が交わるイベントを数多く開催されたんですね。中でも、このイベントは良かったというようなものはありますか?

集客の面でいえば、駄菓子屋イベントはたくさんの人が来てくれました。

駄菓子屋がない田子町のニーズにあったんじゃないかと思っています。

この辺りの子供たちはスーパーやコンビニなどでレジの会計には慣れていると思うんですが、駄菓子は小銭で払いますし、ある程度自分の頭の中で合計金額を計算しなければならないですよね。

買い物かごに駄菓子をたくさん持ってきた子が、お会計するときにお小遣いが足りなくて困っているなんて姿もありました。後ろにいたお父さんが足りない分は出してくれていましたけどね。

友達同士できていた子供たちが多かったですが、親が子供を連れて来てそういったことを経験させたいと言って来ていた方もいたのは印象的でした。

(お小遣いを握りしめて並ぶ子供たち)

 

あと、満足度が高かったのは、木村さんのパン教室ですかね。

みろく館には厨房もあるので料理教室もできるんですが、パンの作り方を習えるのはもちろん、木村さんの人柄に参加者の皆さんも楽しまれていました。

コトやモノを通して、ヒトが交わるイベントっていいなと感じたので、こういったことを継続的にやっていきたいなと思っています。

 

◇逆にこのイベントは失敗したな、改善が必要だなと感じたものはありますか?

子供と大人が交流できるようにと、テレビゲームをやるイベントを開催したのですが、用意したのが20年くらい前に流行った昔のゲームだったんです。

子供たちにはその面白さが伝わらなかったのかあまり集まってくれず、むしろ大人たちの方が懐かしんでやってくれていました。

(子供も大人も楽しんだテレビゲームイベント)

 

みろく館としての改善点は、平日の来館者ですかね。

休日はイベントでたくさん人が来てくれるのですが、平日はイベントがないとあまり来館者がいないので、私たちが企画するイベントだけでなく、町民の方や町外の方にもいろんな形で使っていただきたいですね。

 

◇失敗や改善点もありながら、様々なことにチャレンジされているんですね。今後みろく館をどのようにしていきたいと考えていますか?

観光客の方にとって、田子町での旅のプランをみろく館で練るような場所になってほしいなと思っています。

季節によって体験できることは様々なので、そういった情報をみろく館で知って、町内で遊んでいってもらいたいなと思っています。

また、町内の子供たちには、ここで働くことが将来の憧れというか、田子町に思い入れを持ってもらえる場所になってくれればと思っています。

昨年、町内唯一の高校が無くなって多くの子どもたちは中学を卒業したら町外に出てしまうようになったんです。ということは、町外に出てしまうまでに田子町で様々なことを経験しておかないと、田子町に思い入れを持てなくなってしまう、いつか田子町に戻ってくる機会がなくなってしまうのではと思っています。

みろく館が子供たちにとって田子町に思い入れが残る場所になれば、田子町ももっと盛り上がるのではないかと思うので、そんな場所になるようにしていきたいと思います。 

 

◇みろく館、今後が楽しみな場所になって行きそうですね。本日はありがとうございました。

ありがとうございました。

 

-あとがき –

人の労力や時間、お金のかかる大きなイベントを開催するよりも、

むしろ日常の中に組み込まれるモノやコトが小さな町の起爆剤になって行くのではないか、そこで人が繋がることでまた大きなものになって行くのではないか、みろく館のお話を聞いてそう感じました。

みろく館では、ほぼ毎週何かしらのイベントが開催されているそうです。

気になるイベントがあれば、参加されてみてはいかがでしょうか?

きっとそれを通して、様々なヒトと交流できると思いますよ。

 

 

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田子町文化観光交流施設 みろく館

 営業時間:10時から18時  定休日:年中無休(年末年始は休館)

 電話番号:0179−23−0580 ホームページ:田子町観光協会 https://takko-kanko.com

 場所:〒039−0201 青森県三戸郡田子町大字田子字天神堂向41−1(田子公民館目の前)

 施設利用料金:

  ・建物内での休憩、食事、会議などの目的での利用は無料。ご自由にご入館ください。

  ・販売行為を伴う施設利用の場合は、1時間250円からご予約いただけます。

   詳しくはみろく館スタッフまでお問合せください。

 施設予約:

  ・来館時に受付にて予約いただくか、電話での予約。

  ・予約状況に関しては、田子町観光協会ホームページからご確認ください。

(2022年8月 みろく館インフォメーション)

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(Written by 五十嵐孝直(サンノワ田子町PR大使)

 

 

 

五十嵐 孝直

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